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R, EZR, SPSS, KH Coder を使ったデータ分析方法を紹介するブログ。ニッチな内容が多め

SPSS で Cox 回帰分析の例

SPSSでCox回帰分析を実施するときの操作手順について。

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SPSS で Cox 回帰分析の例

ある疾患の遺伝子異常と死亡・再発イベント発生の関連について検討している。

複数の遺伝子異常が予後に関連していると思われるため、比例ハザードモデルを使って 各遺伝子異常のハザード比を出したい。

SPSSで解析したいのだが、以下の手順で良いか?

  1. 生存変数に各症例の観察期間を入れる。
  2. 状態変数にアウトカム(死亡・再発イベント発生)を0,1に変換した変数を入れる。
  3. 共変量に検定したい遺伝子異常を複数強制投入法で入れる(これらはlog-rankで有意に関連している変数に限る)。
  4. ストラータの所は空白に。
  5. 結果として出てきたexp (β)がハザード比。

Kaplan-Meier曲線を描くときには各遺伝子異常の変数をストラータに入れるため、Coxではこれでいいのかと心配になったので相談した。

上記例へのコメント

共変量の決め方は検定の結果だけではなく、先行研究の結果と理屈を考えた上がよい。

ストラータ Strata (Stratum 「層」の複数形)はKaplan-MeierとCoxでは意味が異なる。

Kaplan-Meier曲線のストラータは比較群情報の変数のことを指す。

Cox回帰のストラータは、ベースラインハザードを分けて考える変数のことを指す。

Coxのストラータは、群別のベースラインハザードが違うという情報であり、比較しないが考慮に入れるべき重大な情報という意味あいになる。

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まとめ

SPSS で Cox 回帰を行う際、ストラータは、カプランマイヤー曲線のときのストラータと意味が異なるので注意。

共変量と考える変数選択は、先行研究の結果、理屈の上で交絡因子になるかどうかを考えた上で、単変量解析の検定結果も考慮するというくらいに考える。

参考になれば。